雨 

朝から頭のいい都立高校の前で塾のパンフレットを配るバイトをした

偏差値で通り過ぎる生徒を見てしまう自分と清潔感のない派遣のおじさんに傘をさせない自分を恥じる

 

 

帰ってきてからニュースを見て森達也の「A」とか「A2」を思い出す

テレビで流れる執行部屋の映像を見て中村文則の「何もかも憂鬱な夜に」を思い出す

本全体を流れる水の描写と濃い生命に宇多田ヒカルの「真夏の通り雨」を思い出す

 

社会から外れてしまった生活に吉本ばななの「白川夜船」、山本直樹の「テレビばかり見ていると馬鹿になる」を思い出す

昔見たユリイカの「コミュ障の時代」特集を思い出す

面接で求められる自己PRで固まってしまう自分に苦しくなる

 

自分はいつでもあやういところに居て、そっち側になっていないことを奇跡的に思う

自分で自制してきたから ちゃんと今まで適応していくよう努力してきたから

私の高校から続けている紙の日記をいつか誰かが見たときに、それを素直に「よくわからない、怖い」と友達は思ってくれるだろう。そして分かってくれる人もいるだろう。本当に良かった。

 

こういう時、いつもノルウェイの森の永沢さんの言葉を思い出す

自分に同情するな

 

でも私は弱い人間だ、そしてそれを受け入れて生きていく必要があると思う

たとえうまく言語化できなくても