金木犀はアヘンのように

わずかに残った夕日に惹かれるように、そして急かされるように、気がつくと目的地とは逆の方向にペダルを漕いでいた。

でもいつまで経ってもその消えて行く淡さには追いつけなくて『ここまで』の標識でハッと我に返って漕ぐのを辞めた。

 

 

夕方の空は真実で混じり気のないもの

「綺麗」ということに何の後ろめたさもない。

このわずかな時間が終わると同時に抱いていた気持ちは急にさっぱり忘れてしまう。

夕飯は何にしようか。