ビリヤニ
食欲は相変わらず無く毎日アイスばかり食べている。
でもなぜかビリヤニがどうしても、食べたくなってしまった。
ビリヤニについて簡単に説明すると、パキスタン料理の一種で、細長いお米をスパイスやお肉と一緒に炊き上げたものである。
実は一週間ほど前からずっと頭の片隅にビリヤニがあった。しかし正直に言うとビリヤニは食べたことがない。
おそらくツイッターか何かで何度か目にして、それがじわじわと潜在的に私をビリヤニに導いていたのだ。
ちょくちょくお店を検索しては、サイトを眺めビリヤニに対する思いを膨らませていた。
ただ、カレーやナンを出すお店は有り余るほどあるが、ランチでビリヤニを提供しているお店となると極端に数が少なくなる。
理由はいくつかあるようで、炊き上げるため作るのに手間がかかるということと、日本では知名度が低いのでせっかく作っても注文が少ないとのこと。
実際探して見ても「月曜日限定」だったり「ディナータイムのみ」だったりしてなかなかありつけない。
ただ、次の日の説明会に行く途中でランチビリヤニを提供するお店が無いか探していると、ついに見つけてしまった。
お店のサイトは無かったため食べログで確認すると、たしかにビリヤニEセットの文字がある。
わくわくしながら眠りにつき、朝ご飯も食べず、お昼過ぎにそのお店へ向かった。正直説明会よりも断然メインイベントである。
13:30ごろお店に到着し、丁度いい感じにお客さんが落ち着いていた。
店員さんがお水を運んできたタイミングで迷うことなくEセットを注文する。
ほどなくしてついに、銀色のトレーに乗せられたビリヤニが登場した。
大きなお皿の半分を占めるほどのビリヤニ。そしてキーマカレー、サラダ、ヨーグルトのようなデザート、サービスの紅茶。完璧である。
ビリヤニにはどうやらエセビリヤニもあるらしく、その場合は炒飯のように油で炒めていて色が均等らしいが、このお店はカラフルなお米がパラパラと混じっていて本物だったのでひとまず安心する。
そしてついに、念願のビリヤニにスプーンを入れる。瞬間、想像と違うあまりのお米の軽さに驚く。そして口に入れたとたんに、様々なスパイスの香りが飛び込んでくる。しかし決して辛すぎるとか刺激が強いとかではなく、あくまでもお米の軽さのようにふわっと、かろやか。そして2口目でもスパイスの配分が変わり、チキンも登場したりとまた違った顔を見せる。
美味しい。
私のビリヤニへ馳せていた思いは間違っていなかった。
色々と就活の悩みは尽きず、多すぎる情報と不安から悶々と考えが渦巻いていたが、どうでもよくなった。全ては時間が解決する。time well tellだ。
そして感動と一種の達成感、達観を味わいながらビリヤニを完食する。
入って来た時は3人ほどいたお客さんはいなくなり、店内はいつのまにか私1人だった。
ごちそうさまでした、と言ってレジでお会計を払うと学生さん?と店員のインド人に話しかけられた。
そこからなぜか話が盛り上がる。
インド人とネパール人の出すお店の味の違い、人も見分けつかないと思うけど私たちも一緒で韓国と中国と日本人の見分けはつかない、彼氏いるの?あなたの地元はどこ?海があるのはいいね、メモしたから今度行くよ、日本10年目だけどとても好きよ、人は優しいし食べ物美味しい、あなたみたいに可愛い子もたくさんいる、日本語は永遠に書けないけど、とか色々と時間を忘れて話して状況がシュールでとても良かった。
ただ説明会も行かなければならなかったので、名残惜しいけどそれじゃあまた来るね。と話を締める。
次は友達を連れてくる、次来た時は10%オフするよという約束をし、nice to meet you.と握手をがっしりして別れる。
とても満足した気持ちで電車に乗った。
これからも毎日こうしたポップでシュールな生き方がしたい ビリヤニのお米のような軽さで